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着床前診断で判断可能な染色体異常について
 
 

「 FISH 法」は染色体を特殊な染料で染色して染色体の数や異常の有無を調べる検査です。染色体異数性胚は、着床しない、またはしても流産しやすいという特徴があり、誕生したとしてもダウン症候群、クラインフェルター症候群( XXY )、13もしくは18 トリソミー染色体異常などが現れます。この染色体異数性胚を見極めて、着床前診断により、染色体が正常な胚のみを移植すれば、着床率の増加および流産率の大幅な減少の結果、妊娠が出産に至る割合は増加します。

 

卵巣機能が弱まる35 歳以上の女性は、誕生した子供に染色体異常に対するリスクが高まります。加齢に伴い染色体異常の胚が増加することにより、受精しても着床せず、自然流産や習慣性流産の 割合も高くなります。

 

習慣流産の原因は抗リン脂質抗体症候群などの免疫の異常、黄体機能不全、甲状腺機能低下症、子宮の異常、染色体異常などさまざまで、原因によってはホルモン治療や免疫療法などにより妊娠を継続することが可能ですが、その内の約8〜10%については、父親か母親の染色体異常が原因です。

染色体の構造異常について

 

「相互転座」「ロバートソン転座」があり、「相互転座」とは、染色体の部分が入れ替わる構造異常を指し、およそ 625 人に 1 人の割合、「ロバートソン型転座」は第 13, 14, 15, 21, 22 染色体で、下半分同士が二つ結合して染色体の融合が起こるために生じます。これは約 900 人に 1 人の割合で発生します。

転座は人体に影響しません が、受精卵が着床しなかったり流産の可能性が高くなります。これを防ぐために着床前診断を受ければ、流産しにくい正常型、均衡型を選択し、流産を防ぐことができます。ご夫婦に染色体異常が無くても、着床した胎児に染色体異常が生じて流産する事はよくあります。

 

着床前診断で染色体異常のない受精卵を選別し子宮に戻してあげることで、流産の予防が可能です。着床前診断は具体的に割球検査で行われます。

 

診断方法「 FISH 法」

1. 胚が成長を始めて 3 日目、胚細胞が 8〜10 個になったら、胚の外膜に穴を開け、ピペットで吸引して割球を取り出します。
2. 割球を分析している間、胚は培養器に戻され培養を続けます。
3. バイオプシーで取り出された細胞は、 FISH 法(蛍光 in situ ハイブリダイゼーション法)で分析されます。(FISH 法ではプローブと呼ばれる DNA の小片を用います)

 

プローブは存在する染色体を数えるのに使用されます。違った蛍光色素で標識されている蛍光プローブは生検された細胞に導入され、染色体と結合します。蛍光顕微鏡で、対象細胞内にある各タイプ(つまり各色)の染色体の数を数えます。その数により正常な細胞と異数性細胞を見分けます。この方法で検査した細胞はガラススライドに貼り付けられ冷却と加熱を繰り返されるため、破壊されてしまいます。そのため、検査された細胞を他の目的に使用する事や、胚に戻すことはできません。

 

性別を決定するのは精子(X染色体もしくはY染色体)

 

染色体は DNA より構成される遺伝子が含まれ、細胞の中心にある細胞核内に存在し、ひも状の構造を持ちます。したがって我々が遺伝によって受け継ぐ情報は染色体に含まれています。正常なヒトの細胞は、 23 組、46 本の染色体を持ちます。ヒトは両親からそれぞれ 23 本の染色体を受け取ります。最初の 22 組分の染色体は男女共同じであり、最大のものから最小のものまで順に 1 から 22 の番号がつけられています。


23 組目の染色体が性別を決定します。男性が X 染色体と Y 染色体を持つのに対し、女性は X 染色体を 2 本持ちます。女性が卵子によって子供に伝えることができるのは X 染色体のみです。男性は精子により X 染色体か Y 染色体のいずれかを伝えるため、そこで子供の性別が決定します。もし卵子や精子に染色体の過剰または不足が生じた場合、その卵子や精子から発生する胚にも染色体の過剰や不足が見られます。これを異数性といいます。

染色体を余分に有するものをトリソミー(トリ: tri =染色体が3つの意)、1つ欠失しているのもをモノソミー(モノ: mono =染色体が 1 つの意)と呼びます。異数性が大きな染色体で起これば、胚が子宮壁に着床しないか、着床後すぐに成長を停止し流産にいたることがあります。

 

しかし、異数性が 13, 18, 21, X, Y といった染色体で起きた場合、染色体異常があっても妊娠が出産まで継続する可能性があります。そうした異常の中で最も一般的なものは第 21 染色体が 1 本多い場合であり、ダウン症候群または 21 トリソミー( 21 番染色体が 3 つの意)です。他の一般的な異数性の事例としては、クラインフェルター症候群( XXY )、13 トリソミー、18 トリソミーがあります。

 

染色体異数性により現れる特徴は、どの染色体が多いかまたは欠失しているかにより決定されますが、身体の異常または精神遅滞が見られる場合もあります。女性が高齢になるにつれ妊娠時の異数性の発生頻度が高くなります。これは卵子も年齢が母体の年齢と共に老いていくからです。

 

女性の卵子と男性の精子の違い

 

女性は胎児の段階ですでに全ての卵子を持っており、そのため誕生時に持っている卵子が一生分の卵子となります。男性の場合は、65日から75日ごとに精子が作られるため、精子と男性の年齢は一致しません。したがって、異数性のリスクと母体の高齢化の関連について、加齢と共に卵子中の染色体が適切に分化する確率が減少し、卵子に染色体の過剰や欠失が生じるという理論が成立します。つまり異数性発生頻度のリスクは母体の高齢化と共に高くなります。

 

35 歳から 39 歳の女性の場合、胚の20%以上に異数性が見られ、 40歳以上の女性になると、約40%に増加します。この胚と生産児の確率の差は、異数性がある場合妊娠しても子宮着床や出産の可能性が低いことによるもので、多くの場合は流産になります。つまり異数性妊娠が持続する確率は、流産によって次第に減少するのです。

 

染色体欠失(モノソミー)の胚は全て着床以前に成長を停止します( X モノソミーおよび 21 モノソミーを除く)。また染色体過剰(トリソミー)の胚が出産に至ることはごくまれです。 40 歳以上の女性の妊娠率が低いのは、主に異数性胚が着床せず流産率が高いためだと考えられます。

 

したがって、染色体が正常な胚のみを移植し妊娠率を高めると同時に流産を減らすことが異数性着床前診断の目的となっています。体外受精後の妊娠率が女性の高齢化に伴い大きく減少することはよく知られています。

 

異数性のある胚は正常な胚よりも生存率がきわめて低く、その半分(染色体欠失の場合)はめったに着床しません。妊娠率が母体年齢の上昇とともに低下するのは、加齢に伴い異数性のある胚が増加するためだと考えられます。異数性の着床前診断を実施し染色体が正常な胚だけを移植すれば、妊娠率を大きく上げることが可能となるでしょう。染色体が正常な胚のみを移植すれば、着床率の増加および流産率の大幅な減少の結果、妊娠が出産に至る割合は増加します。

 

 
   
   
 
 
 
 
   
 
 
 
   
 
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